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朝比奈草摺実記 2巻

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解題/抄録

書誌の解題/抄録
「小説年表」では宝暦12年(1762)刊とするが根拠不明。この作品は『蜷川新右衛門』(当館請求記号:207-1737)の巻末、竜が新刊書の書名を吹き上げている意匠の「新版畫盡總目録」中にあり、この目録に載る「桃栗三平柿八兵衛」「風流鬼ニ瘤」の題簽により山本版。「日本古典籍総合目録データベース」に所蔵は当館のみ。青本(改装)2冊(合1冊)、富川房信画、題簽を欠くが、柱題「あさひなくさす(ず)り実記 朝いな草すり実記」により表記題名に該当と認められる。
(内容)木曽義仲の最期、朝比奈草摺引の由来。
(上)寿永の頃、木曽義仲は飲酒に耽り忠臣を退け佞臣を近づける。夢に、羊になり角と尾を失い天に上がると見、伊達、根井、樋口に吉凶を判断させる。角と尾のない「羊」は「王」となり帝位疑いなしと判じ、義仲の悪心は募る。今井兼平が「平家を滅ぼし、君を補佐し、御代長久国家安全の評定を何故なさらぬ。鎌倉へ聞こえれば頼朝公が義経・蒲殿に攻めさせて平家同様滅ぶは明白」と諫言する。義仲は「帝となり頼朝を滅ぼすに手間は要らぬ」と怒り、兼平を勘当する。巴御前は義仲の改心を明神へ祈誓し、七日参りの道で無礼をする梶原の家来乾源五を馬ごと差し上げ谷へ投げ、悠々と帰る。今井は引籠もり、義仲の改心に昼夜肺肝を砕く。討手義経・蒲冠者の先陣が逢坂の関まで押し寄せたとの注進が今井に届く。義仲方は宇治川で支えたが佐々木梶原に渡られ、戦い敗れ粟津をさして落ち行く。義仲は巴に、何方へも忍んで胎内の子を無事に産み、名を上げさせよと頼む。
(下)義経勢が雲霞の如く攻め来る。今井が対面すると、義仲は面目なく、討死せんと只一騎松原さして落ち行く。今井は義仲が討たれたと聞き、最後の手並み見せて鎌倉勢の目を驚かそうと奮戦し大勢討ち取り、目覚ましい討死にをする。石田五郎は木曽殿を討ち取ったが、今井の手並に恐れて逃げ行く。巴は義仲の弔い戦で大勢を相手に働き近づく者はない。和田義盛が遂に巴を生け捕り鎌倉に凱陣し、鎌倉殿へ願って懐胎している巴を妻にする。安元2年の春、巴は易々と男子を産み、義盛は寵愛する。母の器量と木曽殿の勇気を兼備した朝比奈三郎義秀は成長に従い力強く並ぶ者もない。「草摺引」は、義盛に遺恨ある武田五郎信光が不意に押寄せ、朝比奈の手並に恐れて逃げる時、義秀が草摺を取って引き戻し討ち取ったのを、和田酒盛の折の曽我五郎と朝比奈の草摺引としたのである。和田酒盛の時は、義盛は久安3年生まれで44歳で、朝比奈は安元2年生まれで18歳、曽我の五郎は22歳という。朝比奈義秀は武勇益々盛んにして、今の世までも、歌舞伎では勇壮な大薩摩の浄瑠璃でなければ登場しない。(日本古典籍総合目録データベース・最終アクセス日:2016.9.30)(木村八重子)(2016.9)

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