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東海道五拾三次 三島・朝霧

解題

東海道五拾三次の解題
このシリーズは、歌川広重(初代1797-1858)が、江戸日本橋から京三条大橋にいたる「東海道五拾三次」の各宿駅に当てて描いた名所・風景・風俗絵の大錦横判55枚揃いから成る。これ以前にも「東海道五十三次」は描かれたが、大判横という大きさで全55枚完結したのは、このシリーズが最初である。作品群としても最も優れ、「保永堂版」と呼ばれ有名である。着手は落款から天保4年頃とみられ、完成は序文の年記により天保5年と考えられてきたが、55枚を2冊の画帖に仕立てた下冊の奥付広告の末に、主たる版元保永堂が本宅とは別に売場を記し、その売場新設の時期は他資料から天保7年正月と考えられることから天保6年末頃と推定できる。従来説より2年ほど遅いこの説を提示したのが、岩波書店刊『保永堂版 広重東海道五拾三次』(2004年刊)である。全55枚は、寛政9年刊『東海道名所図会』ほかの資料を多用するが、構図や譜彩に画才をあらわし、続絵としての全体の枠組みや変化も考えぬかれ、見る人を「道中ゆきかいぶり」に加わって東海道を旅する心地に誘う。当時、浮世絵にも使用可能となった「ベロ」と呼ぶ西洋の「青」を多用し、必ずしも名所に拘泥せず、風景画としての質を高めたと思われる。(木村八重子)
書誌の解題
画題:東海道五拾三次之内 三島 朝霧
画工名:歌川広重
落款:廣重画
改印:「極」(右半分)
判・種類:大判、錦絵、横一枚
種類 : 名所絵、風俗画
版元:「保永堂」(竹内孫八)
解説:「三島女郎衆」で知られる三島宿は、上りの旅人が箱根越えをして三島で宿を取り、下りの旅人は三島に泊まって翌朝箱根を越えるので、宿泊客で繁盛したからである。霧に包まれて早朝に出立つ中央の旅人たちは、三島明神の鳥居の前を通って箱根方面に向かうのであろう。この作品を版木から考察してみると、主板(おもいた)で摺られているのは、題名と落款の他は中央の人物たちと右手の5本の針葉樹だけらしい。中央の人物たちは、駕籠とその客、軽尻の客と薦(こも)をまとった馬子、荷物を担ぐ者の6人と馬1頭だが、最近景のここだけが人物の顔までリアルに描かれ、霧中の情景と対照的である。霧を表現する色板(いろいた)は、社殿も井垣も鳥居も灯籠も、中央の木立も二軒の家も向こうへ行く3人の旅人も、薄墨と薄藍の濃淡と重ね摺だけであ。不定形な雲と左方の家並みを極薄い薄墨、社殿はぼかし、中央の木立と二軒家と遠くの2人は少し濃い薄墨、井垣と松、鳥居、灯籠、向こうへ行く旅人1人、二軒家は互い違いに薄墨の上にという風に、薄藍を摺ったのであろう。極初摺では、一文字(画面上端の細いぼかし)が墨色であるが、本館所蔵品は左方の人物3人が下半身までぼかさずに摺ってあり、初摺に近い作品である。(木村八重子)
参考資料:『保永堂版 広重 東海道五拾三次』(鈴木重三等著、岩波書店、2004刊)
所収資料名 : 『東海道五拾三次』(請求記号:寄別 2-2-1-6)

目次・巻号

東海道五拾三次の書誌情報

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コンテンツ情報

フィルム番号
IPA62

コンテンツURL

http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1309897/1