解題/抄録
- 書誌の解題/抄録
- 『源氏物語』の注釈書。書名は内題による。題簽は「覚性院抄」。一般には「覚勝院抄」と呼ばれる。書中の記述から、元亀2年(1571)頃の成立かと考えられている。本文を段落ごとに記し、注釈を書き入れ、さらに行間や上部にも多くの注がある。源氏の注釈書で、本文を全文掲げる形式のものは少ない。「覚勝院」については、大覚寺覚勝院の僧ともいわれるが、著者、成立過程とも未だ明らかでないところが多い。本書は、「初期稿本系」とされる穂久邇文庫所蔵本とほぼ一致する。第25冊に、一関藩主田村建顕所持の本を写したとの仙台藩主伊達吉村(1680-1752)の奥書がある。第1、2冊にはところどころに付箋、第2冊の「帚木」には青墨の書き入れがある。印記「伊達伯観瀾閣図書印」。