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解題/抄録

書誌の解題/抄録
本資料は、園芸最盛期に出版された著作『草木育種』『草木育種後編』から成る。『草木育種』の著者は岩崎常正(号は灌園、1786-1842:『本草図譜』解題参照)。上巻は総論で、植物栽培の基礎から「唐むろ」(唐窩、一種の温室)や植木の運送法に至るまで記す。唐むろの記述はこれが初めてという。下巻は各論で、185品の草木について述べる。注目されるのは、下巻の目録で草木名をイロハ順に配列し、品ごとに何番目の丁にあるかを記して索引を兼ねている点である。索引という発想が無かった江戸時代には珍しい試みであった。なお、本書の初版は文化15年1月刊だが、本資料は後刷の天保4年(1833)刊本である。『草木育種後編』の著者は、常正門下の阿部喜任(よしとう、1805-70)、号は巴菽園・櫟斎[れきさい]である。阿部照任(てるとう)の曾孫に当たる(『参考書誌研究』56号参照)。本書の構成は『草木育種』にならい、上巻は栽培法の補足だが、そのなかで「花蘂交接(しべまじハる)の論」として、交配による品種改良に初めて言及した。下巻は各論で草木160品を記述している。『後編』は天保8年(1837)の刊行だが、何かの間違いで刊記が文化15年となっている本がある。(磯野直秀)

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