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傾城嵯峨物語 2巻

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解題/抄録

書誌の解題/抄録
青本2冊(合1冊)。丈阿作。題簽欠。題名は後補書題簽による。柱題「さが物かたり、さかもの語」。『国書総目録』第3巻 補訂版(岩波書店、1990.1)に当館本のみ。
(内容)嵯峨清凉寺の釈迦如来出開帳にまつわる敵討もの。
(上)嵯峨の釈迦如来が関東へ出開帳に下る途中、矢作宿の二村長者は衆生済度のため自宅で宝輦を開き諸人に拝ませる。横曽根宇多右衛門は恩ある旧友を討って立退いた悪人で、仏も宝輦も見えず、その刀を寺へ納めて出家したいと清凉寺の玉れん上人に願う。それを聞いて衣笠袖之介は親の敵と知り、行方不明の兄を差し置き一人で討とうとする。二村の家老芦分五郎左衛門は「如来の尊前だ。後に御舎兄と討たれよ」と止める。荷持藤介(網代木十吉)が十貫目の銀一箱を盗み出すのを、荷持弥介(衣笠京太郎)が見咎めるが、請出して妻にした浅妻の不足五貫目のためと聞き、浅妻の起請を手形代わりに取って見許す。如来出立のため奉加銀を改めると一箱不足、家老の詮議で一人残った弥介が疑われ懐中を改めると「網代木十吉様浅妻」の起請が出る。二村の姫は起請の名を聞いて弥介を十吉と思い「私は許嫁の東雲」と取り付く。家老の妻あすかは、十吉が名乗らぬと姫の継母が甥と娶せ家を継がせる計略でお家の騒動になると言う。事情を知った京太郎は十吉と名乗る。一方、京太郎が馴染んだ太夫清橋は年が明き、新吉原の廓を出て京太郎の行方を尋ねる。清橋は道に迷いある屋敷に泊めて貰おうと思う。十吉となった京太郎は、家老に付き添われて乗馬に励む。
(下)遠目に見た清橋はあすかに「乗馬の殿様は衣笠京太郎と申す私の夫。会わせて」と頼む。あすかは不審ながら銀盗人も知れようと思う。家老は京太郎に「十吉様には面識がある。お前は銀盗人京太郎だ。殿様を尋ね出すまで十吉様にして置くのだ」と言う。京太郎は「その通りだが銀盗人は十吉だ。継母の企みを知って自分は十吉と名乗っている。そうすれば十吉に盗人の悪名も付かない。彼が屋敷へ戻ったら自分は退くつもりで姫に近づかないのだ」と言う。家老夫婦は心底を聞き、驚いて詫び「十吉様が帰られるまで殿様で居てくれ、清橋殿は私の屋敷へ入れよう」と頼む。東雲姫は側へも寄らない殿(実は京太郎)の心を訝しむ。一方、十吉と世帯を持った浅妻は縫物して暮らす。火熨を借りにやった娘のお市が戻らず、横曽根宇多右衛門は火熨に火を入れて持って来る。仕立物の重しに戸棚の金箱を出してと頼まれ、重い金箱を知った宇多右衛門は、浅妻が仕立物を届けに出た留守に忍び入り、嵯峨の釈迦に祈るお市を締め殺し金箱を盗んで逃げる。十吉は娘お市殺しは宇多右衛門と推し、この上は、二村の家督を継ぎ東雲と夫婦になり、廓の借金も済ませようと思う。浅妻は「二村の家を継ぎ私を尼にして」と頼む。親の敵を尋ねる袖之介と、お市の敵を尋ねる家老が会い、共に宇多右衛門を尋ねる。京太郎が十吉の行方を探している所に、宇多右衛門が金箱を担げ急ぐので咎めると、宇多右衛門は怒って名乗り、親の敵とわかる。十吉は二村の家督を継ぎ、宇多右衛門は屋敷で京太郎兄弟に討たれる。十吉は廓へ五貫目を渡し浅妻を引き取り、東雲と婚礼し、二村長者の家は長く栄える。お市の三十五日に釈迦堂で仏事供養をすると、釈迦堂の内陣に声あり「最期にわが名を唱えた。その善縁によって命を助ける」と宣う、その声の下からお市が現れる。お釈迦様の御利生で蘇生したのである。(木村八重子)(2016.2)

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