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函嶺復讎談 2巻

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解題/抄録

書誌の解題/抄録
中本型読本(〈中本もの〉)。感和亭鬼武著・蹄斎北馬画。文化5年(1808)刊。2巻2冊。
題名の「函嶺」は箱根。承久(鎌倉中期)の頃、駿河国知夫(ちふり)家の臣「託麻軍記(たくまぐんき)」は姦計を設けて同輩「穂浪弾番(ほなみたんば)」を殺害し、弾番の忠臣「直入容助(なおりようすけ)」に罪を着せる。弾番の妻子が、助太刀を得て箱根山中で仇討ちを遂げる。
自序に、作意は「華林戯(しばゐ)」に基づき文章は「音節談(じやうるり)」に拠るといい、また自跋に言うように、「三(山)荘太夫(さんせうだゆふ)」の物語を大きく踏まえたことが本作の趣向である。
家中を追放された穂浪の妻「美含(みぐみ)」と娘「朝来(あさこ)」・「要人(かなめ)」は、もと穂浪の臣「荒灘(あらなだ)堂右衛門」の誤認により、母は伊勢国、子供は伊豆国熱海の「岩尾喜間太(いわおきまた)」に売られる。子供たちは艱難を経て、直入容助の弟「容二郎」と堂右衛門に救われる。岩尾の娘の犠牲死などもあり、岩尾は託麻軍記に頼まれて穂浪弾番を殺したのは自分であると告白して切腹する。改心した堂右衛門が美含をも救出し、直入容助の亡魂が主君の仇討ちを助ける。
手慣れた筆で、文化5年当時の〈中本もの〉の水準を示す作と言えよう。職業作者鬼武の活動については、鈴木俊幸(1986.6)・髙木元(1995.10)の研究に詳しい。(大高洋司)(2017.2)
(参考文献)鈴木俊幸「寛政期の鬼武」(『近世文芸』44、1986.6)
髙木元『江戸読本の研究 十九世紀小説様式攷』(ぺりかん社、1995.10)

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