解題/抄録
- 重訂本草綱目啓蒙 48巻の解題/抄録
- 『本草綱目啓蒙』初版は出版の直後、文化3年(1806)3月の江戸大火で版木が焼失した。蘭山の孫で後継者の小野職孝(1774-1852)は、蘭山の没後に再版を企て、文政12年(1829)頃に完成したが、その版木も間もなく火災で失われた。職孝は窮状を岸和田侯岡部長慎(ながちか、1787~1858)に訴え、援助を求めた。長慎は職孝の願いを入れ、同藩の医師井口望之(楽山)に校訂を命じ、弘化4年(1847)に本書を藩版として刊行させたのである。この『啓蒙』第4版は、校訂がもっとも良いという。一方、長慎は『啓蒙』に図が無いのを惜しみ、井口望之に編集させ、服部雪斎・阪本純沢画『本草綱目啓蒙図譜』を刊行した。これには刊記が無くて藩版と思われる嘉永2年(1849)刊本(特1-90)と、刊記を有し市販版らしい同3年刊本(125-45)がある。しかし、図譜出版には大金を要するからか、山草部4冊だけで終わった。このほか、当館は井口の手稿本(特1-498)も所蔵するが、これは未刊行部分の画稿と思われる。(磯野直秀)
目次・巻号
重訂本草綱目啓蒙 48巻の書誌情報
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https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2555643/1