解題/抄録
- 町方書上の解題/抄録
- 江戸幕府は文化7年(1810)に地誌編輯局を新設して、武蔵国の地誌「新編武蔵風土記」の編集を始めたが、江戸府のことは別に編するのが適当と考えられ、文政9年(1826)から「御府内風土記」の編集を始め、史料蒐集に着手した。文政12年(1829)に同書は完成したが、明治5年(1872)宮城火災のおりに焼失した。しかし編集に備えた資料はその災をまぬがれて今日に伝わり、「御府内備考」と称されている。これらの資料は主として町々および各寺社からの書上げさせたものに基づくものである。
つまり、この「町方書上」と「寺社書上」(当館請求記号:802-42)は、「御府内風土記」の史料として提出させたものであり、文政8年(1825)から同12年(1829)までのものであるが、江戸地誌として重要であるだけでなく、史料としても貴重なものである。内容は町の位置・方角、町の成立の由来、町内の間数・坪数・家数・公課、自身番、下水、橋梁、堀川、旧家、坪領地主などすこぶる詳細なもので、江戸研究には不可欠な文献であるが、曲輪内の町々を欠いている。154冊。なお「町方書上」は昭和62年から新人物往来社より順次刊行をみた(当館請求記号:GC67-442)。
また、『御府内備考』は正編のみが『大日本地誌大系』(当館請求記号:GC67-G274など)に収められ、『町方書上』の一部は戦前に『徳川時代商業叢書』に収められている(当館請求記号:343-4ぬ)。また、細目は『町方書上寺社書上細目』(「旧幕引継書目録」2、国立国会図書館閲覧部、1960)がある。(南和男)
目次・巻号
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https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2571532/1