解題/抄録
- 御府内場末往還其外沿革圖書の解題/抄録
- 江戸幕府普請方において編纂した江戸の地誌。御府内および府内場末近辺の町々の時代的変化を、おおむね延宝年間(1673-81)ころから以後、地域を区切って記述している。文化4年(1807)老中牧野備前守忠精が長谷和泉守政良らに、府内の道路・橋梁・河梁・空閑地・馬場その他の沿革の調査を命じた。編纂事業は翌5年に着手、7年まで継続したが、8年12月に至り幕府の諸経費節減の方針のため中止となった。しかし天保元年(1830)12月老中水野忠成の命により再開、安政5年(1858)全22部折絵42枚の完成をみた。この書は普請方役所が府内の地割を行うのに必要な参考資料として編纂したものであったから、当初は完成した二本とも普請方役所に備えておいたが、非常災害を懸念し、万延元年(1860)8月一本を紅葉山文庫に納めた。その後、幕末文久年間(1861-64)ころから再び調査が始まり、本所・深川におよんだというが詳細は明らかでない。本書は拾六の部から弐拾の部まであり、各部は図書と添付の折絵図20帙からなる。一の部から拾五の部までを収める「御府内往還其外沿革」(当館請求記号:804-21)は本書と同様の書である。図書には宮寺・道・明地・堀川・土手・町屋などを色わけして示している。現在東京都公文書館、国立国会図書館、国立公文書館(内閣文庫)等に伝存しそれぞれ欠本があるが、都公文書館のものが最も欠本が少ないといわれている。(南和男)
目次・巻号
御府内場末往還其外沿革圖書の書誌情報
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https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/9370095/1